底地や借地権をめぐっては、たびたびトラブルの引き金になることがあります。
例えば、旧借地法の時代に締結された借地契約のなかには、当事者間で契約書を交わしていなかったために契約内容が不明瞭なものがあります。そのほか、借地権については他の不動産取引においてはあまり登場しない制度によって、当事者間のみでは解決が難しい複雑な問題に発展することもあります。
借地権をめぐってトラブルになりやすい例としては、下記のようなものがあります。
借地権を相続した場合
相続の開始によって被相続人の借地権を取得することは、借地権を第三者から買い受けるのとは異なり、借地権の譲渡にはあたりません。よって、相続により相続人が借地権を取得するにあたっては地主から承諾を得る必要はなく、譲渡承諾料や名義変更料等を支払う必要もありません。
仮に借地権を相続したことを知った地主から譲渡承諾料等を請求されても、相続人はこれを拒否できます。
借地契約の更新拒絶
契約の種類や内容によって異なるものの、多くの借地契約では一定の契約期間が定められています。通常は数十年単位の契約であり、半永久的に更新することができるといわれていますが、さまざまな事情で地主から更新を拒否されるケースもあります。
特に旧借地法の時代に契約を締結しているケースや、契約書自体が無いといったケースでは、専門家でなければ適切な判断が難しくなってきます。
地主による借地契約の更新拒絶は、法律上正当事由がなければできません。正当事由が認められるかどうかは、借地人が土地の使用を必要としている事情や、立退料の提供等の申出等を総合考慮したうえで判断がされます(借地借家法16条)。
建物の増改築・建替えに関するトラブル
借地上の建物の増改築や建替えを行うには、事前に地主の承諾を得なければなりません。通常であれば、地主に建替承諾料を支払うことで建替えの承諾を得る流れとなりますが、地主に建替えを拒否されたり、高額な建替承諾料を請求されることもあります。
どうしても解決しないときには地主の承諾に代わって、裁判所に対して建替の許可を求める申立てを行い、裁判所から許可を出してもらうことで、契約違反とならずに建替を行うこともできます。しかしながら、地主と借地人との今後の関係性を考えると、あまり積極的にはおすすめできません。専門家に相談して地主への交渉を検討するなど、慎重な判断・対応をすることが大切です。