不動産取引は買主にとっては非常に大きな買い物です。もし、売主が売却しようとしている不動産に何らかの瑕疵(かし)があることを知っている場合は、たとえ契約で不利になる可能性があるとしても契約前にその事実を買主にきちんと伝える義務があります。これを「告知義務」といいます。
通常、瑕疵のある物件は相場よりも安い価格で取引されます。しかし、売主が瑕疵の存在を知っていながら「黙っていれば気付かないだろう」と告知義務を怠ってしまうと、買主から損害賠償を請求されたり、詐欺罪に問われてしまったりするおそれがあります。
お持ちの不動産を売却するにあたって、どのようなケースで告知義務が生じるのかを確認しておきましょう。
告知するべき瑕疵について
告知義務がある瑕疵にはいくつか種類があります。それぞれ確認していきましょう。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、事故死や自殺・他殺が発生したなど、不動産取引の際に心理的な抵抗を覚えるような欠陥のことです。また、このような物件を「事故物件」と呼ぶこともあります。
例
- 自殺・他殺や、孤独死で遺体が長らく放置されていた
- 忌まわしい事件・事故が発生した
物理的瑕疵
その物件に生活に支障が出るほどの物質的な瑕疵がある物件にも告知義務があります。このような瑕疵を物理的瑕疵といいます。
例
- 雨漏りやシロアリ被害など、物件が劣化している
- 地盤沈下、土壌汚染などが起こっている
環境的瑕疵
物件自体には欠陥がなくても、周辺環境が劣悪であるといえる場合は、環境的瑕疵にあたる可能性があります。
例
- 近隣に暴力団の施設がある
- 近くに火葬場、ごみ処理場等がある
不動産売却にあたって注意するべきポイント
物理的瑕疵や環境的瑕疵のある物件については、資料や現地での調査等から確認し、図面に起こす等の方法で可視化させることができます。しかし、心理的瑕疵の物件については目には見えないほか、人によって気になる・気にならないの基準が異なっているため、特にトラブルに発展しやすい物件となっております。
例えば、下記のようなケースで買主による損害賠償請求が認められた判例があります。
- 事件発生後、何年も経過しているから、告知する必要はないと思った
- 事件や事故が起こった物件を取り壊して更地にしたため、告知しなかった
売主が知り得たことを知らせないまま売却してしまうと、後から買主と揉めるリスクが高くなってしまいます。瑕疵があることを知っている場合には、まずは仲介の不動産会社に事前に伝えておきましょう。
瑕疵のある物件の売却について
上記で述べたような瑕疵のある物件は、やはり相場より何割か安く取引されることがほとんどです。物件に対する評価は買主の心象にもよるところが大きいため、実際の売却価格は買主次第で大きく左右されます。
瑕疵のある不動産をお持ちで売却をお考えでしたら、リスクを回避するためにも瑕疵があることを隠さず伝えておくことがベストです。一心コンサルティングは不動産に関するご相談を無料で承っておりますので、納得いくまでお話をさせていただき、ベストなご提案ができるようお手伝いさせていただきます。