不動産を共有している場合において、各共有者は単独で持分を売却することができます。
例えば、兄弟2人で2分の1ずつの割合で不動産を共有していた場合、兄と弟はそれぞれ自己の持分である2分の1のみを、他の共有者の同意を得ることなく、売却することができるのです。
共有持分を手放す方法としては、前述の「共有持分の売却」のほか、「共有持分の放棄」という方法もあります。ここでは、こうした共有持分の手放し方について、お伝えをさせていただきます。
共有持分を売却するには
共有持分の売却の仕方は、通常の不動産を売却する流れとほとんど同じです。
共有持分を買いたい買主との間で売買契約を締結し、不動産の名義変更を行います。
しかし、共有持分の買主としては、共有持分だけを買っても不動産全体を利用できるわけではなく、不動産全体を売却することもできないため、共有持分の売買価格は、通常の売買価格と比べると5~7割程度の評価となることが多いようです。
また、こうした理由から買主も容易には見つからないことが多い為、共有持分の買い取りを専門に扱う不動産業者に売却することもあります。
不動産を共有状態で取得してしまうと、売却するのに多大な労力がかかってしまいますので、なるべく不動産は共有状態で持たないことが望ましいです。
共有持分の放棄や贈与も可能
共有持分の手放し方としては、共有持分の売却という方法以外にも、「共有持分の放棄」や「共有持分の贈与」という方法も存在します。
共有持分の放棄を行うと、自分が持っていた共有持分は、他の共有者へと帰属されます。贈与をしているわけではありませんが、結果として0円で相手(他の共有者)に不動産の持分を渡していますので、税務上は「みなし贈与」という取り扱いになり、共有持分の放棄を受けた他の共有者は、贈与税を納付する必要があります。
共有持分の放棄の注意点としては、共有者が複数であった場合、特定の共有者に共有持分を渡すことができませんので、特定の共有者に共有持分を渡したい場合には、「共有持分の贈与」を通じて、実現することになります。
土地の場合は分筆して売却できる!
土地を共有している場合は、分筆登記を行って売却することができます。
分筆とは、簡単にお伝えをすると、土地を2つに切って別々の土地とすることです。土地は繋がっていますので、現実的に2つに切ることができませんが、2つの土地の間に杭を埋めたりすることで境界を明確にし、法務局に備え付けられている登記簿を2つに分けることを指します。
例えば、Aという土地を兄弟2人で2分の1ずつ共有していたものを、A①とA②という2つに分筆をします。すると、A①は兄弟2人の共有、A②も兄弟2人の共有という状態になります。次に、A①の兄の持分とA②の弟の持分を交換すると、A①は弟の単独の土地、A②は兄の単独の土地となりますので、それぞれが単独で不動産の売却ができるようになるのです。
分筆方法詳細は「土地の分筆とは」ページにて説明しています。
最後に
共有持分を手放す方法はいくつかありますので、どの方法を選択すべきか判断する前に下調べを徹底して行うことが大切です。まずは、不動産の専門家に確認をした上で、お手続きを進めていくことをおすすめします。