不動産売却の場面では、不動産の現状や価値を知るために、土地家屋調査士に測量を依頼することが一般的です。ここでいう測量とは、土地の面積や高低差などを機械で測定し、図面に起こすことをいいます。この測量によってできた図面を基に不動産査定を行う流れとなります。
不動産売却のタイミングで行われる測量には2種類ありますので、それぞれについてご説明します。
現況測量とは
現況測量は、既存の境界標や杭、フェンス等を基準として、仮で行う測量のことです。その土地のおおよその寸法や面積、高さを把握するためにする測量のことで、仮測量と呼ぶこともあります。
現況測量では隣地との境界の調査や隣地所有者に立ち合いを求めるといったことは行いません。そのため実際の土地の面積とは異なる可能性がありますが、その土地の範囲や現状を知り、売却を検討するための判断材料として用いられます。
確定測量とは
確定測量は、隣地所有者の立ち合いのもと、全員の合意を得て境界点を決定し、全ての隣接地との境界を確定させる測量のことです。
確定測量は専門家である土地家屋調査士に依頼をし、隣地所有者と境界点について合意をしたうえで「確定測量図」を作成します。
不動産売却の場面で「現況測量をしたので、確定測量は行わなくて良いだろう」という方がいらっしゃいますが、不動産売却にあたっては原則この確定測量を行わなければなりません。
なぜならば、不動産の売主は買主に対して境界を明示する義務があるためです(民法415条)。なお、境界を確定させる義務まではないものの、実際のところ買主としては境界についてトラブルが発生する可能性のある不動産を購入したくはありません。そのため、売主は土地家屋調査士に作成してもらった確定測量図に基づいて、買主に対して境界を明示することが一般的です。
※当事者間で確定測量のないことを合意したうえで売却するケースを除く。また、マンションの売却時も確定測量は必要ありません。
確定測量は現況測量よりも時間や費用がかかるものの、事前に境界トラブルを回避できるため、買主としても安心できるので、成約に結び付きやすくなります。
また、特に不動産の価格が高い地域では、境界が数センチ変わるだけでも査定価格が大きく変わる場合があります。このような理由で、正確な境界を確認することは重要なのです。
不動産売却の場面では、必ず土地家屋調査士に確定測量を依頼しましょう。